【花展】「いけばな×百段階段2019」大盛況御礼
毎年目黒の「ホテル雅叙園東京」、「百段階段」にて開催されております計45流派が8週に渡って作品を展開する花の祭典「いけばな×百段階段2019」に、古流かたばみ会は第5期で出展いたしました。当流からは以下、7名の出展となりました。
大塚 理司、大塚 理航、久保 理加、大門 理正、西村 理季、山本 理京、飯野 理堯
今年は副家元 大塚理航が初の出展となり、展示するお部屋は百段階段の上階に位置する「清方の間」。この「清方の間」での展示は当流としては6度目となります。
ホテル雅叙園東京「百段階段」の「清方の間」入り口
「清方の間」は、昭和初期の美人画の巨匠 鏑木清方の絵が贅沢に並び、豪華な設えが特徴的な非常に格調の高い部屋となっています。
派手な装飾は鏑木清方の絵を殺し、また地味な花は生け手の個性や作品自体を霞ませてしまう、どんないけばなを生けるのか、ある意味非常に難しいお部屋です。
家元 大塚理司は床の間の空間に「猿猴杉の生花」を生けました。
生花の基本である三線(真・流・受)をきちんと表現しながらも、暴れた付き枝をどこまで猿猴杉本来の特徴を損なわずに捌くか非常に難しい花材になりますが、流麗さをもつ中流しいけという型で見事に生け上げました。
また器(水際)から一本の足で立ち上がる姿が生花の美しさの特徴の一つです!
花材 : 猿猴杉(行型・中流し生け)
器 : 鋳銅薄端
敷板 : かたばみ文蒔絵蒔足
古流かたばみ会は古流の伝統的な古典花である「生花(せいか)」があるので、こういった和の空間にはバッチリ合うのですが、
副家元 大塚理航は現代華を応用した場自体を異質化させる「インスタレーション」にチャレンジし、見事「清方の間」や他の作品との調和を生み出しました。
こういった場との調和、「空間に生ける」のもいけばなの面白さの一つです!
赤づるをベースにツルウメモドキや野ばらといった実物の花材を取り合わせ、秋らしい独特の渋みのある華やかな空間を生け上げました。
また社中先生の合作、「花衣桁」「伽羅・石化柳・ホトトギスの寄せ生け」も見事に空間との調和を生み出しました。
「花衣桁」は豪華絢爛ですね!
「花衣桁」
室町時代に将軍 足利義満の好みにより、元々は着物を掛ける衣桁に花を飾ったのが始まりと伝えられています。
真・行・草の飾りがありますが、今回は最も格調のある「真の飾り」となっています。
卓上には香炉が置かれ、香炉は火を扱うものなのでその下には水に因む花が生けられます。(今回は花首が伸び、枯葉を混ぜた「秋の杜若」)
左側の大きな空間には、床に常緑樹である松またはそれに準じた木ものを銅製の器(真の器)を用いて本手で生けます。
また、卓上には太陽を象徴する鏡(八咫の鏡)がかけられ、その左には満月を表す丸い器に花(月光を表す黄色い花等)が生けられ、陰陽一体を表します。
さらに柱には掛花入れを配し、全体の調和に配慮しながら季節の花を生けます。
本作は二つの飾り具と五つの花で構成された「七つ飾り」となっています。
「HanaIkou(Flower Clothes girder)」
This is said to have started in the Muromachi period when Shogun Ashikaga Yoshimitsu decorated flowers on the clothes girder.
There are three ways to decorate(真Shin, 行Gyou, 草Sou) and this was decorated in the most elegant style 真.
An incense burner which handles fire is placed on the table, so we have to use waterside green material underneath.
In the large space on the left, pine or other evergreen tree is placed in a Honte style with a copper container(真’s container).
A mirror symbolizing the sun is set on the upper right, and a container symbolizing the moon is set on the left.
Both representing Yin Yang.
In addition, we place hanging flower vessels on the pillar and set seasonal flower while considering the whole harmony.
This work is consisted of two decorations and five flowers called “Seven decorations”.
「伽羅・石化柳・ホトトギスの寄せ生け」
伽羅と石化柳は根を分ける事で2種生けの受流しに。
その横にはホトトギスの真型本手生けを。
空間やお生花同士の間、全体のバランスに配慮して器の位置や作品の丈を決めていきます。
花材 : 伽羅・石化柳(行型・受流し生け)、ホトトギス(真型)
器 : 真塗り六角寸胴
敷板 : 真塗り敷板
ホテル雅叙園東京 「百段階段×いけばな」の担当の方々からは「この様な見せ方、清方の間との調和は初めてだ」と大変喜んで頂き、またご来場下さった方々からは
「これぞ日本の美」
「素晴らしい和の空間」
等々沢山のお褒めの言葉も頂戴し、大盛況の内に終えることが出来ました。
多くのお客様にご高覧受け賜わりまして、社中一同厚く御礼申し上げます。
古流かたばみ会では池袋アウルタワーに位置する本部教室にて、家元教室・副家元教室共に現在無料で生け花体験ができます。
(花材費約2,000円のみ頂きます)
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