〜 現代華 〜

現代華(げんだいか)は"型"の存在しない、いわばフリースタイルのいけばなです。植物の持つ特徴を活かしてどこまでArtisticに作品を表現出来るか・・・
生け手の感性や個性が大きく作品に反映されます。

当流派では、誰もが自分だけの作品を追求・表現できるよう、様々なカリキュラムを通して作品の表現方法を指導しています。
(下の構成は指導要領のごく一部です)
創造的な世界に、足を踏み入れてみませんか?

マッスの構成

タイトル:福音

 マッスで構成された作品例です。マッスとは「塊」という意味の美術用語で、いけばなでもしばしば使われる用語になります。花や葉を塊にすることで、植物本来の自然の姿とは異なった表情が現れます。
 この作品ではかすみ草のふわっとしたかたまりを右まで垂らし、面の強さを持つ白いアンスリウムを左に配置することでバランスを取っています。

 最後に薔薇の花びらを散らすことで作品を幻想的に表現しています。

花材
かすみ草、アンスリウム、薔薇

マッスと線の構成

タイトル:鬱積

 前述のマッスに線の要素を加えた構成です。
 かたまりであるマッスには「強さ」や「重さ」があるのが特徴となりますが、
線の要素を足すことでそれらが緩和され、作品に「伸びやかさ」「軽やかさ」を感じさせる事ができるようになります。

 この作品ではワイングラスにスモークツリーとキキョウで構成されたマッスを生け、動きの面白いツルウメモドキの枝をあしらう事で空間を切り伸びやかさを出しています。

花材
スモークツリー、キキョウ、ツルウメモドキ

幾何学的な構成

タイトル:異彩

 この作品では幾何学的な構造を植物で表現しています。
 使用した三角形の花器(変形花器)に合わせて大小様々な三角形のエレメントをメインに配置し、
点景としてアリウムギガンジウムの特徴的な丸い花をあしらう事で作品を引き締めています。

 植物の持つそれぞれの特徴や魅力をいかに引き出し作品を表現するかが、
「現代華」の最も面白いポイントと言えるでしょう。

花材
アリウムギガンジウム、フトイ

変形花器を活かす

タイトル:月下狂宴

 いけばなは「器」も作品を構成する上で「花」と同じくらい非常に重要な要素となります。
 器といっても盛花に用いられる平たいものから、投げ入れ花等に用いられる壺や瓶まで多岐に渡りますが、
造形的な現代華にはしばしば「変形花器」という変わった形の器が用いられる事があります。

 ここでは曲線のある変形花器を用いて、
タニワタリを矯める(曲げる)ことで生まれる曲線と器の曲線とを同調させることで、作品としての一体感を描き出しています。下の花は花器の曲線を消さない配慮も行なっています。
 また、人工的に表現することの出来ないタニワタリの表情も作品のポイントとなっています。こうした点も自然を相手にするいけばなの面白さです。

花材
タニワタリ、ルリダマアザミ、キキョウ

分解と再構築

タイトル:泡沫(うたかた)

 こちらは桜を用いた作品となります。
 現代華は時として、むしったり、削ったり、潰したり、といった痛みを伴う行為があります。
 だからこそ、華道家は本来の姿以上に「綺麗」に、はたまた「面白く」その植物を活かしてあげる必要があります。

 ここでは本来の姿から一度植物を分解し、
枝を編み込んで立体的な造形物を作り、花びらを透明なガラス器に浮かべたものをバランスよく配置することで作品として再構築しています。
 水面で弾けて消える儚い泡沫を、桜の儚さと合わせて表現してみました。

花材
枝垂れ桜

動詞を用いる

タイトル:微睡(まどろみ)

 造形的な作品を生ける上で、動詞は1つのキーワードになる可能性を秘めています。
 前述の作品では「編む」工程がありましたが、
ここでは「割く」という動詞をメインに作品を表現しています。

 元は1枚の葉でも、動詞を用いることで作品を全く別のものに異化することができる例です。
(葉脈を断ち切っていないので水もしっかりと上がります)

 動詞だけでも無数に存在するので、植物と組み合わせることであなただけの作品表現をきっと見つけることが出来るでしょう。

花材
ブラックリーフ