HISTORY
「古流」と「かたばみ会」の歴史
〜古流の歴史〜
古流は江戸時代中期に発生した流派で、250年以上の歴史を持っています。
創流から九世(現)家元である大塚 理司まで、どのように継承され広まっていったのかを、
ざっくりと解説していきたいと思います。
初代家元
始祖は
「一志軒 今井宗普(いっしけんいまいそうふ)」
という人物で、
伝記の詳細は不明ですが、明和七年(1770年)刊行の
『瓶花群載(へいかぐんさい)』
という花書の筆頭に“古流一志軒今井宗普”と添え書きされた「松竹梅」の二重いけの図がのせられています。
寛政年間(1789~1801年)
「一志軒 今井宗普」の門人であった
「安藤涼宇」
は、二世家元として江戸・湯島天神下に居を構えて活動したとされています。
文献は残されておらずその作風などは不明ですが、
加賀藩に出入りするなど、古流の基盤を作った人でもあります。
文化・文政年間(1804~1830年)
古流をさらに普及させて、中興の祖といわれたのは
「関本理遊」
で『不許他見古流生花百瓶之図』『古流生花門中百五十瓶図』などの作品集を刊行し、
江戸の生花の流行に大きな影響を与えました。
嘉永元年(1848年〜)
理遊引退ののち、四世家元を継承したのが
「関本理恩」
です。
『古流生花松乃志津玖』を刊行し、
また天、地、人三才の思想にもとづいて理論的に内容を意味づけするなどの功績を残しました。
幕末から明治維新にかけての激動期には、いけばな界は一時衰退期を迎えます。
『松乃志津玖』以外にも多くの作品図の出版計画を立てていた理恩も刊行の機会を失い、
惜しまれながらも報われることなく、明治十一年(1878)72才で没しました。
現在、古流の雅号に「理」を用いるのは、理遊~理恩の系統にもとづくものです。
明治十一年(1878年〜)
五世家元は
「近藤理清」
に受け継がれました。
理清は家元継承以前の江戸在住のおり、
理遊・理恩について古流を修め、金沢を中心に北陸系古流の確立に努めました。
現在でも古流が北陸と東京とで広く普及しているのは、こうした歴史からです。
その後、関本理遊より受け継がれてきた松盛斎の華号は、五世家元 理清門下の「広岡理徳」「藤井理清」をへて、
同じく理清門下の
「柿谷理閑」
に受け継がれました。
〜かたばみ会の歴史〜
かたばみ会の発足から、
現在の九世家元「大塚 理司」の活躍までをまとめています。
昭和四年(1929年〜)
六世家元を継承した「柿谷理閑」は、のちに上京して松盛斎の華号を
「初代 熊井理総」
に譲り、初代理総は「古流かたばみ会」を興しました。
昭和十八年(1943年〜)
「柿谷理閑」没後、初代理総は七世家元を継承します。
他会の古流人とともに、
「全国華道古流協会」
の発足に賛同するなど、
古流の隆盛の一端を担う活動にも参加しました。
昭和二十年(1945年〜)
初代理総は駒込にて空襲にあい他界、
八世家元として
「二代 熊井理総」
が戦後の「古流かたばみ会」復興の活動を始めました。
この頃から
前衛華道
と呼ばれる新しいいけばなの考え方が生まれます。
二代理総もいちはやくこの考えを指導の中にとり入れ、
今日までかたばみ会の大きな柱の1つとなっている
現代華
と呼ぶ、自由で造形的ないけばなを呈示するに至りました。
二代理総は戦後のこのような会の流れの中で、
古流生花 / 現代華
の普及のために『古流生花教本』『古流・四季のいけばな』『東海道いけばな心の旅』『古流の四季~花材と技法』 などの本を著すとともに、
アメリカ、イタリア、フランス、イギリス、オランダ、香港など海外でもデモンストレーションを行うなど、
積極的な普及活動を行ってきました。
平成7年(1995年〜)
前年(1994年)二世熊井理総が八十七才で逝去し、現家元である
「大塚 理司」
が九世家元を継ぎます。
多くの流派が所属する「日本いけばな芸術協会」や「いけばな協会」の役員を歴任し、生け花の普及に努めると共に、
いけばな作家として個人でも芸術祭に出品するなど、幅広く活躍しています。
〜以下経歴〜
1955年 東京生まれ
1968年 いけばなを始める
1981年 古流かたばみ会協会審査制出品・受賞 以後国内の各種花展に出品
1995年 古流かたばみ会家元就任
個 展
1987年 ギャラリーNWハウス (早稲田・東京)
1995〜1999年 真木・田村画廊 (神田・東京)
2003年 ギャラリーるたん (銀座・東京)
いけばな展 ・ グループ展
1993〜1995年 名栗湖国際野外芸術展 (名栗・埼玉)
1997年 大清湖国際野外芸術展 (清州・韓国)
1999年 いけばなから ’99 (横浜・神奈川)
2001年 Japan2001 Crossovers (ロンドン・UK)
2006,09,12,22年 大地の芸術祭 (越後妻有・新潟)
2007年 KOBE Biennale アート イン コンテナ展 (神戸・兵庫)
2017,19年 新いけばな主義展 (横浜・神奈川)
2022年 Nakayama AIR Exhibition (中山・千葉)
デモンストレーション等
2009年 いけばなインターナショナルI.I.香港支部 (香港)
2010年 パラオ観光協会 (パラオ)
I.I.シンガポール支部 (シンガポール)
2012年 I.I.アジア大会 (ニューデリー・インド)
2014年 I.I.ハイデラバード支部 (ハイデラバード・インド)
2016年 花下侶上海花展 (上海・中国)
2019年 小原流ボンベイ支部より招聘 (ムンバイ・インド)
2020年 I.I.東京支部 (イタリア大使館・東京)
他、国内多数